海の見える街

フランス・フランス語好きの社会人受験生による備忘録。2017年春ニース語学留学・プロヴァンス地方一人旅の記録、短期留学後の日常、長期留学に向けてのあれこれ。「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、だれがシロクマを責めますか」(梨木香歩「西の魔女が死んだ」)

ニース空港のImmigrationとBaggage Claim

午前中に二時間半のフランス語のレッスン。家のすぐ近くで働いているMarcが休憩しに帰宅。Marcが午後の勤務に戻り、私はJeanneteの作ってくれた昼食(白いご飯にミートボール入り野菜炒めを添えたもの、チーズ、バゲットを少し、ピスタチオのヨーグルト)を食べる。

Jeanneteはとても料理上手なのだけれど、それ以前にこちらの国は、大前提として、あらゆる食材が美味しい。米はおそらく東南アジアからの輸入物なのだろうけれど、タマネギやパプリカなどの野菜がとにかく甘い。さすが農業大国。南仏は特に太陽の恵みが大きい?

 

さて、昨日書き忘れた、ニース空港での入国審査 Immigration と荷物の引き取り Baggage Claim について。

 

これが初めての海外体験だし、入国審査官ってきっと厳しいんだろうな…!滞在目的はSightseeing、滞在期間は1week、滞在先はMy host family's houseで、その家はたしか…City Hallの近くで…などと、英語での問答をイメージして答えを用意しておいた。え、入国審査って英語でいいんだよね?いきなりフランス語で答えを要求されたりしないよね?という心配さえもした。

それなのに、私が並んだ窓口のおじいちゃん審査官は、私のパスポートを見た瞬間、日本語で入国審査を始めた…!

 

"ハーイ、(本名)サン!コニチハ!ニッポン?ハーイ、ドゾ!アリガト!"

 

そんな入国審査でこの国は大丈夫なのか…!?

日本語で話しかけられたので私も反射的に「こんにちは!」「はい!」などと答えてしまい、別れ際に"Oui! Thank you, Merci,merci!"とかろうじて外国語を使う。良い感じに脱力。

ちなみに、他の入国審査官たちはけっこう真面目に質問をしていた様子(イミグレ付近が大混雑していたので、手際良く仕事を捌くため、おじいちゃん審査官は質問を端折ったのかもしれない)。

 

15秒ほどで入国審査を終え、預け入れ荷物を探すも、私のスーツケースがコンベアから出てこない…!流れてくる荷物は閉店間際の回転寿司のようにまばら。どれも私のものではない。そのうちにコンベアが止まってしまった。

 

ロストバゲージという最悪の想像をしつつ、成田でe-ticketの控えに貼ってもらったクレームタグとパスポートを握りしめ、コンベア付近のカウンターへ。カウンター内でおしゃべりしていたお姉さんたちに、荷物が見つからないんだけど…と暗く話しかけると、あら大変といった表情で行方不明荷物担当(?)のロジャーを紹介してくれる。ロジャーは丁寧な英語で、私の使った航空会社はどこかを尋ね、エミレーツの荷物の引き取りはあちらです、と教えてくれた。なるほど、航空会社ごとに分かれてるのね…見てわかるところに案内板とか出してもらえると助かるかな…。

私の英語を理解してくれてありがとう、カウンターの皆さん。

 

で、ロジャーが教えてくれたエミレーツの荷物の引き取り場所へ。ここはイミグレ以上の大混雑。流れてくるはぅの荷物が全然出てこない。コンベアが作動してさえいないのだ。荷物担当の係員が一人二人、コンベアの出口で何かやっているものの、人出不足なのか…?日本人でも相当神経質な部類の私が心配するのはともかく、スペイン語やらフランス語やらを話す人々でさえ、時計とコンベアを交互に見てソワソワ、イライラ。ヨーロッパ系と思しきブロンドのマダムが荷物係を見て、何やってるのかしら、といったことをつぶやく。

ホストファミリーに、荷物の引き取りが遅れる連絡をするべきかな…私が気にしすぎなのかな…でもマナーとして…空港の駐車場が時限式だったら帰っちゃうことも…電話番号を登録しておくべきだったかも…っていうかいきなり電話で外国語、通じる?

どんどん不安になりつつ、たっぷり四十分。ようやくコンベアが低い唸り声を上げる。前方から呆れと安堵のため息、そして喜びの拍手。それが荷物の登場を急かすような手拍子に変わりかけたとき、私のスーツケースがコンベアの出口から流れ出てくるのを発見。よかった、ロストしてなかった!これですぐに引き取れる!とようやく安心。

コンベアからスーツケースを下ろすのは、後ろにいたお兄さんが手伝ってくれた。マダムはまだ先が長そうで、私が荷物に手を伸ばすのを見て肩をすくめていた。

 

入国審査しかり荷物の引き取りしかり、予測は裏切られるもの。型通りであることだけがすべてではない。良くも悪くも。

ニース空港での一幕は、フランスという国からのちょっとした洗礼だったのかもしれない。